ベラルーシ共和国憲法(仮訳)

(ごく粗い仮訳です。都合により2004年の改訂を反映していません。

ロシア語原文はhttp://www.president.gov.by/press10669.html

 

我々、ベラルーシ共和国(ベラルーシ)国民は、

ベラルーシの現在 および未来に対する責任に基づき、

国際社会の完全なる権利を有する主体として自覚し、人類共通の価値への自身の忠誠を確認し、

固有の自決権に基づいて、

数世紀にわたるベラルーシ国家性の歴史をふまえて、

ベラルーシ共和国市民一人一人の権利と自由の確立を希求し、

市民の和合、民主主義 および法治国家の揺るぎない基盤の確保を望み、

ベラルーシ共和国の基本法である本憲法を採択する。

 

第1部 憲法体制の諸原則

 

 ベラルーシ共和国は、一体の民主・社会・法治国家である。

 ベラルーシ共和国は、自国領土における支配権と完全な国家権力を有し、独自に内政および外交政策を遂行する。

 ベラルーシ共和国は、自国の独立と領土の保全を守り、適法性と法秩序を保障する。

 

 人、人の権利、自由 およびそれらの実現の保障は国および社会の最高の価値であり目的である。

 国は、市民に対し個人の自由で相応な発展のための諸条件を設定する責任がある。市民は国に対し、憲法で課せられた義務を無条件で遂行する責任を負う。

 

 国民は、ベラルーシ共和国における国家権力の唯一の源泉であり主権の担い手である。国民は自身の権力を、直接に、代議制機関 および他の機関を通して、憲法で規定された形式と範囲内で実現する。

 暴力的手段ならびにベラルーシ共和国の法律に反する方法による憲法体制の変更 および国家権力の獲得に関するいかなる行為も法律に従って罰せられる。

 

 ベラルーシ共和国の民主主義は、政治制度、思想 および意見の多様性を基礎として実現される。

 政党、宗教 または他の社会団体、社会集団の思想が、市民の義務として定められてはならない。

 

 政党その他の社会団体は、ベラルーシ共和国の憲法 および法律の範囲内で活動し、市民の政治的意思の発揮および表明に協力し、選挙に参加する。

 政党 および他の社会団体は、法律で規定された手続きにより国のマス・メディアを利用する権利を有する。

 憲法体制の暴力的変更 または戦争、社会的反目、民族的反目、宗教的反目および人種的反目の宣伝活動を目的とした政党ならびにその他の社会団体の設立と活動は禁止される。

 

 ベラルーシ共和国の国家権力は、立法権、行政権 および司法権への権力分立を基礎とする。国家機関は、自らの権限の範囲内で独立である。国家機関は、相互に協力しあい、互いの力を抑制し、均衡させる。

 

 ベラルーシ共和国では、法の支配の原則が確立される。

 国、国のあらゆる機関 および公務員は、憲法および憲法に従って採択された諸法令の範囲内で活動する。

 法律で定められた手続きにより憲法の条項に反すると認められた法令 またはその他の規程は、法的効力を持たない。

 国家機関の規範法令は公布 または法律で規定された他の方法で一般に告示される。

 

 ベラルーシ共和国は、一般に認められた国際法の原則の優越性を認め、この原則に法律を整合させることを保障する。

 ベラルーシ共和国は、国際法の規範に従って自発的に国際機構に加盟し、それらから脱退する。

 憲法に反する国際条約を締結することはできない。

 

 ベラルーシ共和国の領土は、国家存在の当然の前提条件であり、国民の自決の空間的範囲であり、国民の繁栄とベラルーシ共和国主権の基礎である。

 ベラルーシの領土は、不可分であり譲渡不能である。領土は、州、地区、市その他の地域的行政単位に分割される。国の地域的行政区分は、法律で規定される。

 

10

 ベラルーシ共和国市民は、ベラルーシ領土内においても、その国境外においても、国による保護と庇護が保証されている。

 何人もベラルーシ共和国の国籍を、または国籍を変更する権利を奪われない。

 ベラルーシ共和国の市民は、ベラルーシ共和国の国際条約に別の定めがない場合、他国へ引き渡されない。

 国籍の取得 および消滅は、法律に従って行われる。

 

11

 外国人 および無国籍者は、憲法、法律および国際条約に別の定めがない場合、ベラルーシ共和国領土内でベラルーシ共和国市民と同一の権利と自由を行使し同一の義務をはたす。

 

12

 ベラルーシ共和国は、他国で政治的信条、宗教的信条 または民族的特徴を理由に追及されている個人の亡命権を認めることができる。

 

13

 所有には国有と私有があり得る。国は、 すべての人に経済活動および他の法律で禁止されている以外の活動の平等な権利を提供し、あらゆる所有形態の発展に必要な平等な保護と平等な条件を保障する。

 国は、協同事業の発展に協力する。

 国は すべての人に、所有物や財産を、企業活動および法律で禁止されている以外の他の経済活動に自由に使う平等な機会を保証する。 

 国は、人と社会の利益のために経済活動の調整を行う。社会的な目的を持った国 および個人の経済活動の方向付けと連携を保障する。

 土壌、水資源、森林は、国の独占的所有物である。農業用地は、国の所有である。

 法律により、国家的所有の形態でのみ存在する他の物も規定され、あるいはそれらを個人の所有に移行する特別な手続きが定められ、さらにその他の種類の活動に対する国の独占的な権利が確保され得る。

 国は勤労者に彼らの労働効率の向上と生活の社会的・経済的水準の向上を目的として企業、組織 および機関の運営に参加する権利を保証する。

 

第14条

 国は、社会共同体、民族共同体 および他の共同体間の関係を、法の前での平等、それらの権利と利益の尊重の原則に基づいて調整する。

 国の行政機関、雇用者の団体 および労働組合の間の社会・労働分野における関係は、当事者間の社会的パートナーシップと協調の原則に基づいて実現される。

 

第15条

 国は、歴史的文化遺産 および精神的遺産の保全、ベラルーシ共和国に居住するあらゆる民族共同体の自由な文化の発展に対し責任を負う。

 

第16条

 宗教と信仰は法の前に平等である。国と宗教団体の関係は、ベラルーシ国民の精神的、文化的および国家的伝統の形成に対する宗教団体の影響を考慮して、法律により調整される。

 ベラルーシ共和国の主権、その憲法体制 および市民の和合に反する方針を持つ、もしくは市民の権利と自由の侵害を伴う宗教組織およびその機関と代表、および市民の国、社会、家族に対する義務の遂行を妨害する、または市民の健康と道徳に害を及ぼす宗教組織 およびその機関と代表の活動は禁止される。

 

第17条

 ベラルーシ共和国の国家言語は、ベラルーシ語とロシア語である。

 

第18条

 ベラルーシ共和国は、その外交政策において諸国家の平等の原則、武力 および武力による威嚇の不行使の原則、国境の不可侵の原則、紛争の平和的解決の原則、内政不干渉の原則、および他の一般に認められた国際法の原則および規範を拠り所とする。

 ベラルーシ共和国は、自国の領土を非核地帯とし、国家は中立とすることを目的とする。

 

第19条

 主権国家としてのベラルーシ共和国のシンボルは、国旗、国章 および国歌である。

 

第20条

 ベラルーシ共和国の首都はミンスク市である。ミンスク市の地位は、法律で規定される。

 

第2部 個人、社会、国家

 

第21条

 ベラルーシ共和国市民の権利と自由の確保は、国家の最大の目的である。

 各人は、十分な食料、衣服、住居を含む人にふさわしい生活水準ならびに人にふさわしい生活水準に必要な諸条件の恒常的な改善に対する権利を有する。

 国は、憲法、法律で確立され、国の国際的な約束により規定されたベラルーシ国民の権利と自由を 保証する。

 

第22条

  すべての人は、法の前に平等であり、いかなる差別も受けずに権利と合法的権利を対等に保護する権利を有する。

 

第23条

 個人の権利と自由の制限は、法律であらかじめ定められ、国防、社会秩序、道徳の擁護、市民の健康、他人の権利と自由に必要な場合にのみ認められる。

 何人も法律に反する特典や特権を持つことは できない。

 

第24条

 各人は生存権を有する。国は、いかなる違法な侵害の企図からも人の生命を保護する。死刑は、その廃止まで、特に凶悪な犯罪に対する例外的な刑罰として、法律に則り、かつ法廷の判決にしたがってのみ適用される。

 

第25条

 国は、個人の自由、不可侵権 および尊厳を保証する。個人の自由の制限および剥奪は、法律で定められた場合に法律で定められた手続きに従って可能となる。逮捕者は、彼の拘禁もしくは逮捕の合法性の裁判所による検証を要求する権利を有する。

 何人も拷問、無慈悲で非人道的もしくはその尊厳をおとしめる扱いあるいは刑罰を受けることがあってはならない。さらに本人の同意なしに医学的あるいはその他の実験を受けることはあり得ない。

 

第26条

 何人も犯罪において、その罪が法律で定められた手続きに従って立証され、裁判所の法的効力を有する判決によって確定されなければ、有罪と認められない。被告人は自信の無罪を立証する義務はない。

 

第27条

 何人も自分自身、家族、近親者に不利な証言 および釈明を強要されない。法律に反して入手された証拠は、法的効力を持たない。

 

第28条

 各人は、文書の交換、電話 および他の通信方法の秘密の侵害、彼の名誉と道徳に対する侵害を含む、私的生活に対する違法な干渉からの保護の権利を有する。

 

第29条

 市民の住居 および他の合法的不動産の不可侵権は保証される。何人も法的根拠なくして市民の住居および他の合法的不動産内へ持ち主の許可無く立ち入る権利を持たない。

 

第30条

 ベラルーシ共和国市民は、ベラルーシ共和国内で自由に移転し居住地を選ぶ権利、出国し障害なしに帰国する権利を有する。

 

第31条

 各人は、自主的に宗教に対する態度を決定する権利、個人としてもしくは他人と共同して任意の宗教を信仰する権利、あるいはいかなる宗教も信仰しない権利、宗教的信条を表明し広める権利、法律で禁止されていない宗教的礼拝、式典、儀式へ参加する権利を有する。

 

第32条

 婚姻、家族、母性、父性、子どもは、国の保護のもとにある。結婚適齢に達した女性 および男性は、自由意志に基づいて結婚し家庭を作る権利を有する。家族関係において夫婦は平等である。

 両親 またはその代理人は、子供の養育、子供の健康、成長および教育に対する配慮についての権利を有し義務を負う。子供は、無慈悲な扱いまたは侮辱を受けてはならない。その肉体的、知能的あるいは精神的発達に害を及ぼす可能性のある仕事につけられない。子供は、両親 およびその代理人の世話をし、援助する義務がある。

 両親 または両親の代理となる他の個人が自身の義務を果たさない場合、裁判所の決定に基づいてのみ、子供は両親または両親の代わりをつとめる他の個人の意に反してその家族から分離される場合がある。

 女性は、教育 および職業訓練を受けること、勤務(労働)における仕事や昇進、社会政治的、文化的および他の部門の活動において男性と平等の機会を提供されること、さらに女性の労働と健康の保護に必要な諸条件の設定が 保証されている。

 青年は、その知的、精神的 および肉体的発達の権利を保証されている。

 国は、自由で効果的な青年の政治、社会、経済 および文化の発展への参加に必要な諸条件を設定する。

 

第33条

 各人は、思想、信条、 およびそれらの自由な発表が保証されている。

 何人も自身の信条の表明 またはその信条の放棄を強制されない。

 国、社会団体あるいは市民の一部によるマスメディアの独占は禁止されている。検閲もまた禁止されている。

 

第34条

 ベラルーシ共和国市民は、国家機関、社会団体の活動、政治、経済、文化 および国際間の動向、周辺環境の状態に関する完全で信頼できる遅滞ない情報の取得、保持および流布に対する権利が保証されている。

 国家機関、社会団体 および公務員は、ベラルーシ共和国市民に対してその権利および合法的権利に触れている資料を調査する機会を提供しなければならない。

 資料の利用は、市民の名誉、尊厳、私的生活 および家庭生活の保護ならびに市民による自身の権利の完全な実現のために、法律によって制限される場合がある。

 

第35条

 法秩序 および他のベラルーシ市民の権利を侵さない集会、大規模な集会、街頭行進、示威行進およびピケの自由は国によって保証される。上述の行為の実施規定は、法律で定められる。

 

第36条

 各人は結社の自由の権利を有する。裁判官、検察官、内務省の諸機関の職員、 国家統制委員会の職員、保安機関の職員、軍人は、政党および政治目的の他の社会団体のメンバーになることはできない。

 

第37条

 ベラルーシ共和国市民は直接でも、自由意思で選ばれた代表を通しても、国事の決定に参加する権利を有する。

 社会 および国の事業への市民の直接参加は、住民投票の実施、法案ならびに共和国的意義および地方的意義を持つ問題の審議、他の法律で定められた方法によって保証される。

 法律で定められた手続きにより、ベラルーシ共和国市民は、共和国議会 および地方議会の場で国家活動および社会活動の諸問題の審議に参加する。

 

第38条

 ベラルーシ共和国市民は、秘密投票による全員の平等な直接選挙権もしくは間接選挙権に基づいて国家機関のメンバーを自由に選びかつ選ばれる権利を有する。

 

第39条

 ベラルーシ共和国市民は、自身の能力、専門知識に応じて国家機関のいかなる職務にも就くことのできる平等な権利を有する。

 

第40条

 各人は、国家機関に対して個々人もしくは団体の請願を行う権利を有する。

 国家機関、ならびに公務員は、法律で規定された期間内に訴えを審査し、本質的な回答を出さなければならない。

 提出された申請の審査を拒絶する場合は、文書で理由が説明されなければならない。

 

第41条

 ベラルーシ共和国市民は、人間の自己実現の最も正しい手段としての労働の権利、すなわち職業、職種や労働の種類を、自分の才能、能力、教育、職能に応じて、社会の需要を考慮した上で選ぶ権利、さらに健康的で安全な労働条件に対する権利が 保証されている。

 国は、市民の完全雇用に必要な条件を設定する。

 個人の失業が本人に責任のない理由による場合は、その者は社会の需要を考慮した新たな職業教育と職能の向上教育、さらに法律に従って失業手当の支給が 保証される。

 市民は、労働組合として団結する権利、団体協約(協定)締結 およびストライキの権利を含む自身の社会的および経済的利益を守る権利を有する。

 強制労働は禁じられている。ただし、裁判所の判決によって規定されたもしくは非常事態および戒厳令に関する法律に則った労働もしくは勤労はこの限りではない。

 

第42条

 雇われて働く者は、労働の経済的成果のうち、労働の量、質、社会的意義に応じた、しかし彼 および彼の家族に自由で相応な存在を保証する水準を下回らない正当な報酬を受け取ることが保証されている。

 女性 および男性、成年および未成年は、同一の価値のある労働に対して同一の報酬を受け取る権利を有する。

 

第43条

 労働者は休息の権利を有する。雇われて働く労働者のこの権利は、40時間を超えない週間労働日数の制定、深夜労働の時間短縮、年次有給休暇の供与、週毎の休日の供与により 保証される。

 

第44条

 国は各人に所有権を 保証し、その獲得に協力する。

 所有者は、単独でも他人と共同でも財産を占有し、使用し、処分する権利を有する。財産の不可侵権、財産の相続権は、法律で保護されている。

 合法的手段で獲得された所有物は、国に保護される。

 国は、市民の貯蓄を奨励し保護し、預金の返還を保証する。

 財産の強制収用は、社会的な必要性を動機とし、法律で規定された条件と手続きを遵守し、収用される財産の対価を遅滞なく全額補償し、さらに裁判所の決定に従ってなされる場合にのみ認められる。

 所有権の実現は、社会の利益 および安全に反してはならない。環境、歴史的文化財に害を及ぼしてはならない。他人の権利および法律で保護されている利益を制限してはならない。

 

第45条

 ベラルーシ共和国市民は、国立の保健施設での無償の治療を含む健康保持の権利が 保証されている。

 国は、全国民に相応の医療サービス実現のための条件を設定する。

 ベラルーシ共和国市民の健康保持の権利は、体育 およびスポーツの発展、環境改善の措置、健康施設の利用の機会、労働保護の向上によっても保証される。

 

第46条

 各人は良好な環境に対する権利、 およびその権利を侵害されたことにより被った損害に対する補償を求める権利を有する。国は、生活環境の保護と改善、さらに環境の保全と回復を目的として天然資源の合理的利用に対する管理を行う。

 

第47条

 ベラルーシ共和国市民は、老齢、疾病、障害、労働能力の喪失、扶養者喪失の場合、および法律で規定された他のケースにおいて社会保障の権利が保証されている。国は、退役軍人および定年退職者、さらに国 および社会の利益を守って健康を害した個人に対し、格別の配慮をする。

 

第48条

 ベラルーシ共和国市民は、居住の権利を有する。この権利は、国 および個人の住宅戸数の増加と市民の住宅獲得への協力によって保証される。

 社会的保護を必要とする市民には、法律に従って国 および地方自治体が、住居を無償または相応の金額で提供する。

 何人も根拠なく住居を奪われることはない。

 

第49条

 各人は教育を受ける権利を有する。普通中等教育 および専門技術教育は誰もが入学でき、かつ無料であることが保証されている。

 中等専門教育 および高等教育は、各人の能力に応じてすべての人に機会が与えられる。誰でも、競争試験により国立の教育機関でしかるべき教育を無償で受けることができる。

 

第50条

 各人は、自身の民族の帰属を維持する権利を持つ。同様に、何人も民族の帰属を決定し、かつ表示することを強制されない。

 民族の尊厳に対する侮辱行為は、法律に従って訴追される。

 各人は母国語を使う権利、交流の言語を選ぶ権利がある。国は、法律に従って保育および教育の言語の選択の自由を保証する。

 

第51条

 各人は文化活動に参加する権利を有する。この権利は国 および社会の所蔵となっている国内および国際的文化財の一般公開、文化芸術教育網の発展により保証される。

 芸術的、学術的、技術的創造 および教授の自由は保証されている。

知的所有権は法律で保護される。国は、公共の利益のために文化の発展と学術および技術研究の発展を促進させる。

 

第52条

 ベラルーシ共和国領土内にいる すべての人は、ベラルーシ共和国憲法、法律を遵守し民族の伝統を尊重しなければならない。

 

第53条

 各人は、他人の尊厳、権利、自由、合法的権利を尊重しなければならない。

 

第54条

 各人は、歴史的文化遺産、精神的遺産 および他の民族的価値を大切にしなければならない。

 

第55条

 環境の保全は各人の義務である。

 

第56条

 ベラルーシ共和国市民は、国税、関税および他の公課により国の諸経費の資金をまかなうことに参加しなければならない。

 

第57条

 ベラルーシ共和国の防衛は、ベラルーシ共和国市民の法的義務であり神聖な義務である。

 兵役の規程、兵役免除の基準と条件、もしくは兵役に代わり選択しうる他の義務への変更は、法律で規定される。

 

第58条

 何人もベラルーシ共和国憲法 および法律で規定されていない職務の遂行、および自身の権利の放棄を強制されない。

 

第59条

 国は、憲法で規定されたベラルーシ共和国市民の権利と自由の完全な実現に必要な国内規定 および国際規定を整備するために、可能なあらゆる措置を駆使しなければならない。

 国の職務の遂行をゆだねられた国家機関、公務員 および他の個人は、自身の権限の範囲内で個人の権利と自由の実現と保護に必要な措置をとらなければならない。

 これらの国家機関 および個人は、個人の権利と自由を侵害する行為に対する責任を問われる。

 

第60条

 各人は、法律で定められた期間、管轄の独立したかつ公正な裁判所による権利と自由の保護が 保証される。

 権利、自由、名誉 および尊厳の保護のために、市民は法律に従って、財産の損失および精神的損害に対する物的補償を裁判に訴える権利がある。

 

第61条

 各人は、国内の すべての法的保護手段を駆使してもなお不十分な場合、ベラルーシ共和国が批准している国際法令に従って、自身の権利と自由を守るために国際機関に提訴する権利がある。

 

第62条

 各人は、権利と自由の実現と保護のために法的援助を受ける権利を有する。その権利には、法廷、他の国家機関、地方行政機関、企業、公共機関、組織、社会団体において、 および公務員や市民との関係において、任意の時点で弁護士その他の自身の代理人の助力を受ける権利を有する。法律で規定されている場合、法的援助は国の負担で行われる。

 法的援助の供与の妨害は、ベラルーシ共和国では禁止されている。

 

第63条

 本憲法で規定されている個人の権利と自由の実現は、非常事態 または戒厳令下で、憲法および法律で規定されている手続きを踏み、それらで規定されている範囲内で一時停止される場合がある。非常事態期間中、格別な措置が施行された場合でも、憲法第24条、第25条第項、第26条および31条で規定された権利は制限されない。

 

第3部 選挙制度、国民投票

 

第1章 選挙制度

第64条

 議員 および国民によって公職に選出されるその他の人物の選挙は、普通選挙である。選挙権は、18歳に達したベラルーシ共和国市民が有する。

 裁判所に行為能力がないと認められた者、裁判所の判決に従って自由剥奪施設に収監されている人物は選挙に参加できない。刑事訴訟法で規定された手続き(方法)で強制措置がとられている(拘禁されている)人物は、投票に参加しない。このほかの場合、市民の選挙権の直接的あるいは間接的ないかなる制限も許されず、法律に従って罰せられる。

 議員 および公職に選出されるその他の人物の年齢制限は、憲法で他の定めがない場合、しかるべき法律で規定される。

 

第65条

 選挙は自由選挙である。選挙に参加するか、誰に投票するかは、有権者個人が決定する。

 選挙の準備と実施は、公の場で公開して行われる。

 

第66条

 選挙は平等である。有権者は同数の票を持つ。

 公職に選出される候補者は、対等の立場で選挙に参加する。

 

第67条

 代議員選挙は直接選挙である。代議員は国民に直接選出される。

 

第68条

 選挙の投票は、秘密投票である。投票の過程における有権者の意志表示に対する管理は禁止されている。

 

第69条

 代議員候補の推薦権は、法律に従い、社会団体、勤労者の集団および市民にある。

 

第70条

 選挙の準備 および実施の費用は、当該目的に割り当てられた金額の範囲内で国が負担する。法律で規定されている場合、選挙の準備および実施の費用を社会団体、企業、公共機関、組織、市民が負担することができる。

 

第71条

 選挙の実施は、憲法で別の定めがない場合、選挙管理委員会が 保証する。

 選挙の実施規定は、ベラルーシ共和国法によって制定される。

 選挙は、非常事態もしくは戒厳令が宣言されている期間は実施されない。

 

第72条

 代議員のリコールは、法律で規定された根拠に基づいて行われる。

 代議員のリコールに関する投票は、代議員の選挙規定に従って、選挙権を有しかつ該当する領域に居住している市民の20%以上の発議により行われる。

 共和国議会の議員のリコールの基準と手続きは、法律で規定される。

 

第2章 国民投票(国民による票決)

第73条

 国家活動 および社会活動の最重要問題の決定に、共和国および地方の国民投票を実施する場合がある。

 

第74条

 共和国の国民投票は、ベラルーシ共和国大統領独自の発議により、さらに代表者院および共和国会議の、両院の各々の会議において、各院の憲法で定められた定員(議員定数)の過半数で採択される発議により、あるいは各州とミンスク市の住民万人以上を含む選挙権を有する市民45万人以上の提案により、ベラルーシ共和国大統領によって公示される。

 大統領は、国民投票の実施に関する 代表者院および共和国会議または国民の提案が法律に従って彼の審査に付された後、共和国の国民投票を決定する。

 国民投票実施の期日は、国民投票の決定に関する大統領令公布の日から3カ月以内に指定される。

 共和国の国民投票で採択された決定は、ベラルーシ共和国大統領によって署名される。

 

第75条

 地方の住民投票は、当該地方の代議制機関の発議により、もしくは選挙権を有し当該地方に居住する市民の10%以上の提案により、当該地方の代議制機関によって決定される。

 

第76条

 国民投票は、普通の自由で平等かつ秘密の投票により実施される。

 

第77条

 国民投票実施の決定は、国民投票で他に規定されなければ、国民投票によってのみ中止 または変更することができる。

 

第78条

 共和国 および地方の国民投票実施の手続き、さらに国民投票に付することのできない問題の一覧表は、ベラルーシ共和国法で規定される。

 

第4部 大統領、議会、政府、裁判所

 

第3章 ベラルーシ共和国大統領

第79条

 ベラルーシ共和国大統領は、国家元首であり、ベラルーシ共和国憲法、人と市民の権利と自由の守護者である。

 大統領は国家の統一を象徴し、内外政策の基本方針の実現を 保証し、他の国家および国際機構との関係においてベラルーシ共和国を代表する。大統領はベラルーシ共和国の主権の保持、国家の安全および領土の保全に関する措置を講じ、政治的 および経済的安定、国の行政機関の継承性と相互関係を保証し、国の行政機関間の仲裁を行う。

 大統領は不可侵権を有し、その名誉と尊厳は法律によって保護される。

 

第80条

 生来ベラルーシ共和国国民で、35歳以上の選挙権を有し、選挙直前の少なくとも10年間連続してベラルーシ共和国に居住している者が、大統領として選挙されることができる。

 

第81条

 大統領は、普通、自由、平等および直接選挙権に基づいて秘密投票で選ばれる。同一人物が大統領たることができるのは、2期以内である。

 大統領候補は、有権者の署名が10万人以上に達した場合、ベラルーシ共和国市民によって推薦される。大統領選挙は、前大統領の権能行使期間終了のカ月前までに 代表者院により公示され、カ月前までに実施される。

 大統領職が空席となった場合、空席となった日から30日以後で70日以前に選挙が実施される。

 

第82条

 投票に、有権者名簿に記載されているベラルーシ共和国市民の過半数が参加した場合、選挙は成立したと見なされる。

 投票に参加したベラルーシ共和国市民の過半数が賛成票を投じた人物がいた場合、大統領が選出されたと見なされる。

 候補者の中で1人も必要な得票数を得られなかった場合は、2週間後に得票数が最も多かった2人の候補者について第2段階の投票が行われる。2度目の投票で、投票に参加した有権者の過半を越える票を獲得した候補が、大統領に選出されたと見なされる。

 大統領選挙の実施の手続きは、ベラルーシ共和国法で規定される。

 

第83条

 大統領は以下の内容の宣誓を行った後、その職務に就く。

 「ベラルーシ共和国大統領の職に就任するにあたり、忠実にベラルーシ共和国国民に奉仕し、人と市民の権利と自由を尊重し保護し、ベラルーシ共和国憲法を遵守し堅持し、私にゆだねられた高い職務を高潔に誠実に果たすことを厳粛に誓う。」

 宣誓は、厳粛な様式で 代表者院の議員および共和国会議の議員、憲法裁判所、最高裁判所、最高経済裁判所の裁判官の出席のもとに、大統領選挙の日より2カ月以内に行われる。

新たに選出された大統領による宣誓実施の時点より、前大統領の権能は停止される。

 

第84条

 ベラルーシ共和国大統領は、

 1)共和国の国民投票を公示する。

 2) 代表者院、共和国会議および地方の代議制機関の定例選挙および臨時選挙を公示する。

 3)憲法で定められた場合にその手続きで両院を解散する。

 4)ベラルーシ共和国中央選挙・国民投票実施管理委員会の6人の委員を任命する。

 5)ベラルーシ共和国大統領府、他の国家行政機関 および大統領付属の諮問機関並びに他の機関を設立し、廃止し改組する。

 6) 代表者院の同意を得て首相を任命する。

 7)ベラルーシ共和国政府を組織し、副首相、閣僚並びに他の政府の要員を任命し罷免し、政府もしくはその要員の辞職の決定を行う。

 8)共和国会議の同意を得て、憲法裁判所長官、最高裁判所長官、最高経済裁判所長官を当該裁判所の裁判官の中から任命する。

 9)共和国会議の同意を得て、最高裁判所裁判官、最高経済裁判所裁判官、中央選挙・国民投票実施管理委員会の委員長、検事総長、中央銀行幹部会のメンバーを任命する。

 10)6名の憲法裁判所裁判官、その他のベラルーシ共和国の裁判官を任命する。

 11)憲法裁判所長官 および裁判官、最高裁判所長官および裁判官、最高経済裁判所長官および裁判官、中央選挙・国民投票実施管理委員会の委員長および委員、検事総長、中央銀行幹部会の総裁および幹部を、法律で規定された根拠により共和国会議へ通告して解任する。

 12) 国家統制委員会の委員長を任命し解任する。

 13)ベラルーシ共和国国民に、国の状況 および内外政策のの基本方針に関する年度教書を報告する。

 14) 議会に年次教書を報告する。これは代表者院および共和国会議の会議の場で審議を行わず傾聴される。議会およびその機関の活動に参加し、それらに対しいかなる時も演説または報告する権利を有する。

 15)ベラルーシ共和国政府の会議で議長をつとめる権利を有する。

 16)共和国の国政機関の長を任命し、その地位を規定する。 議会における大統領の代理者ならびに憲法で別の定めがない場合、法律に従って規定された職務を遂行する他の公務員を任命する。

 17)ベラルーシ共和国の国籍の取得、その消滅、 および亡命権の提供に関する問題の決定を行う。

 18)国民の祝日 および休日を制定する。国の褒賞を授与する。称号や位階を授与する。

 19)受刑者の特赦を実施する。

 20)国際条約の交渉 および署名を行う。外国および国際機関におけるベラルーシ共和国の外交代表を任命し、召還する。

 21)外国の駐ベラルーシ共和国外交代表の信任状 および召喚状を受理する。

 22)天災、大事故、ならびに人々の生命と健康、領土の保全 および国家の存在に危険およぼす暴力、もしくは個人の集団や組織からの暴力の脅威を伴う混乱が発生した場合、ベラルーシ共和国全土あるいは特定の地域に非常事態を宣告し、この決定を、3日以内に承認を得るために共和国会議へ提出する。

 23)法律で規定されている場合、3カ月を越えない期間ストライキを延期または中止する権利を有する。

 24)法律に署名する。憲法で定められた手続きで、自身の異見を添えて法律およびその他の規定を 代表者院に差し戻す権利がある。

 25)政府の決定を取り消す権利がある。

 26)直接あるいは大統領によって設立された機関を通じて地方行政機関 および地方自治体の法律遵守の管理を行う。法律に整合していない場合、地方議会の決定を一時停止する権利、地方の執行および運営機関の決定を取り消す権利がある。

 27)ベラルーシ共和国安全保障会議を組織し、その議長をつとめる。安全保障会議の国務長官を任命し、解任する。

 28)ベラルーシ共和国軍の総司令官を務める。軍最高司令部を任命し、解任する。

 29)軍事的脅威もしくは武力攻撃を受けた場合、ベラルーシ共和国領土内に戒厳令を宣告し、完全なあるいは部分的な動員を宣言する。この決定を、3日以内に承認を得るために共和国会議へ提出する。

 30)憲法と法律により大統領に課せられた他の職務を遂行する。

 

第85条

 大統領は、憲法に基づき、憲法に従ってベラルーシ共和国全土で法的効力を有する大統領令(ウカース)および指令(ラスポリャジェーニエ)を公布する。

 憲法で規定されている場合には、大統領は法律の効力を有する命令(デクレート)を公布する。大統領は、直接あるいはしかるべき機関を通じて自身の命令、令、指令の執行を 保証する。

 

第86条

 大統領は、給与の他に金銭的報酬を受け取って他の職を占めることは できない。ただし、学術的成果、文学および芸術作品に対する報酬はこの限りではない。

 大統領は、その権能を有する全期間において、政党 および政治を目的とする他の社会団体での身分を一時停止する。

 

第87条

 大統領はいつでも辞任することができる。大統領の辞任は、 代表者院で承認される。

 

第88条

 ベラルーシ共和国大統領は、健康上の理由で大統領の職務の遂行が明白に不可能になった場合、その任期満了以前に解任される。大統領解任の決定は、 議会により特別に設立された委員会の決定に基づき、代表者院の議員定数の3分の2以上の多数および共和国会議の議員定数の3分の2以上の多数をもって採択される。

 大統領は、国家への背信行為もしくは他の重大な犯罪により罷免され得る。告訴 およびその審理の決定は、この場合、代表者院の分の以上の議員の発議により 代表者院の議員定数の過半数が賛成票を投じた場合に採択されたと見なされる。弾劾の審理は、共和国会議で行われる。弾劾の決定に対して共和国会議の議員定数の分の以上、さらに 代表者院の議員定数の分の以上の賛成を得た場合、大統領は罷免されたと見なされる。

 弾劾提起の日からカ月間、共和国会議および代表者院による大統領罷免の議決がなされなかった場合、弾劾の却下を意味する。大統領の罷免に関する提案は、憲法に従って任期満了以前の 議会の権限の停止に関する問題を審議している期間は発議されない。

 犯罪が事由の大統領罷免の場合、弾劾の本質的な問題は最高裁判所が審理する。

 

第89条

 大統領職が空席である場合、憲法で規定されている理由で大統領による職務遂行が不能な場合、大統領の権能は新たに選出される大統領の宣誓の時点まで、首相に移行する。

 

第4章 議会−国民会議

第90条

  議会ーベラルーシ共和国国民会議はベラルーシ共和国の代議制の立法機関である。

  議会は代表者院と共和国会議の2院で構成する。(訳注:それぞれ下院と上院に相当)

 

第91条

  代表者院の定数は、110人である。代表者院議員の選出は、法律に従って、普通の自由で平等な直接選挙権に基づいて秘密投票で行われる。

 共和国会議は、地域的な代議制機関の院である。各州およびミンスク市から秘密投票により、各州およびミンスク市の地方議会の規定水準の会議において、各8名の共和国会議議員が選ばれる。共和国会議の8人の議員は、ベラルーシ共和国大統領によって任命される。

  議会の両院の新しい議員の選挙は、現行会期の両院の権能が停止するカ月以上前に公示され、30日以前に実施される。

  議会両院の臨時選挙は、職務期限終了前に議会両院の権能が停止した日より3カ月以内に行われる。

 

第92条

 21歳以上のベラルーシ共和国市民は、 代表者院議員となることができる。

 30歳以上で少なくとも年間該当する州、ミンスク市に居住していたベラルーシ共和国市民は、共和国会議議員となることができる。

  代表者院議員は、議会で職業的に自身の権能を行使する。憲法で他に定めのない場合、代表者院議員は、同時に閣僚となることができる。

 同一人物が、同時に 議会の両院の議員になることはできない。代表者院議員が地方議会の議員になることはできない。共和国会議議員が、同時に閣僚になることはできない。代表者院議員、共和国会議議員の職務を、大統領あるいは裁判官の職と同時に兼任することは許されない。

 

第93条

  議会の任期は、年間である。 議会の権能が法律に基づいて延長されるのは、戦争が発生した場合のみである。

  議会両院の選挙後最初の会議は、選挙後30日以内に中央選挙・国民投票実施管理委員会により招集され、活動を開始する。代表者院の最初の会議の招集と活動開始のために、 代表者院の新議員選挙の投票の第2段階の日より30日間が数えられる。もし代表者院議院選挙において投票の第2段階が行われなかった場合、30日間の算定は、ベラルーシ共和国総選挙の第段階実施の日より行われる。共和国会議の最初の会議の招集 および活動開始のための30日間の算定は、州もしくはミンスク市選出の共和国会議議員選挙に関する地方議会の規定水準の会議の初日より行われる。

 憲法で規定されている場合に同じく憲法で規定されている手続きにより、 代表者院あるいは共和国会議の権能が任期満了前に停止させられる場合がある。大統領の決定による代表者院あるいは共和国会議の権限の停止に応じて、共和国会議あるいは 代表者院の権能も停止される。

 

第94条

  代表者院の権能は、政府の信任を拒否した場合、政府に対する不信任決議を表明した場合、あるいは首相指名の承認の拒絶を度行った場合、期限満了以前に停止され得る。

  代表者院もしくは共和国会議の権能は、議会の両院による組織的あるいは重大な憲法違反があった場合、憲法裁判所の決定に基づき、期限満了以前に停止される。

 大統領はこれらの問題について、両院の議長と正式な協議を行った後2カ月以内に決定する。

 両院は、非常事態もしくは戒厳令が宣言されている間、大統領の職務が終了するまでのカ月間、両院で大統領の任期満了前の解任あるいは罷免に関する問題を決定している期間は解散されない。

 最初の会議開催の日より年間は、両院を解散することは できない。

 

第95条

 両院は、年に度の定例会議を招集する。第回の会議は10日に開会される。その会期は80日を越えることは できない。

 第回の会議は日に開会される。その会期は90日を越えることは できない。

 10日もしくは日が休日にあたる場合は、会議は休日開けの最初の労働日に開催される。

  代表者院および共和国会議は特別に必要な場合、大統領の発議および各院の議員定数の分の以上の要求により、定められた議題について臨時議会を招集する。

 臨時議会は、大統領令によって招集される。

 

第96条

 代表者院は、その議員の中から代表者院議長および副議長を選出する。

 共和国会議は、その議員の中から共和国会議議長 および副議長を選出する。

  代表者院および共和国会議の議長並びに副議長は、会議を進行し両院の内部規律を管理する。

  代表者院および共和国会議は、その議員の中から、立法作業や議会の運営に関する諸問題の事前検討と準備を行う常設の委員会その他の機関を選ぶ。

 

第97条

  代表者院は、

 )大統領の提案もしくは選挙権を有するベラルーシ共和国市民15万人以上の発議による憲法の修正 および追加に関する法案、憲法解釈について審議する。

 2)法案を審議する。その中には、ベラルーシ共和国の内外政策の基本方針の承認、軍事ドクトリン、国際条約の批准 および廃棄通告、市民の権利、自由および義務の実現の基本的内容および原則について、国籍、外国人および無国籍者の地位について、少数民族の権利、共和国予算およびその決算報告の承認、共和国の税金 および公課の設定、所有関係実現の原則、社会的保護の基礎、労働と雇用の調整の原則、婚姻、家庭、子供、母性、父性、養育、教育、文化および保健、環境の保護および天然資源の合理的利用、国の地方行政機構の諸問題の解決手続きの規定、地方自治、裁判制度、裁判の実施 および裁判官の地位、刑事責任、恩赦、宣戦布告および講和条約の締結、戒厳令および非常事態の法的規定、国の報償の制定、法律の解釈についての法案が含まれ、それらを審議する。

 3)大統領選挙を公示する。

 4)大統領の首相指名を承認する。

 5)首相の政府の活動綱領に関する演説を聞き、政府の活動綱領を承認 または拒否する。計画が代表者院により度拒絶されると、政府の不信任の表明を意味する。

 6)首相の発議による政府信任問題を審議する。

 7) 代表者院の議員定数の分の以上の発議により政府の不信任を表明する。政府の責任に関する問題は、政府の活動綱領の承認後年間は討議にかけられない。

 8)大統領の辞職の承認。

 9) 代表者院の議員定数の過半数により、国に対する背信行為または他の重大な犯罪を事由にして大統領弾劾を提起する。共和国会議はしかるべき決定に基づいて、議員定数の分の以上の多数で大統領の罷免を決定する。

 10) 代表者院議長の命令を取り消す。代表者院は、憲法に規定されている場合、他の問題の決定も行うことができる。

 

第98条

 共和国会議は、

 1)代表者院で採択された憲法の変更および追加に関する法案、憲法解釈、その他の法案を承認または却下する。

 2)大統領による憲法裁判所長官、最高裁判所長官 および裁判官、最高経済裁判所長官および裁判官、中央選挙・国民投票実施管理委員会議長、検事総長、中央銀行幹部会の総裁および幹部の指名を承認する。

 3)憲法裁判所の人の裁判官を選出する。

 4)中央選挙・国民投票実施管理委員会の人のメンバーを選出する。

 5)法律に整合しない地方議会の決定を取り消す。

 6)地方議会による組織的あるいは重大な法律条項に対する違反があった場合、 および法律で規定された他の場合において地方議会の解散を決定する。

 7) 代表者院によって提起された、国家への背信行為または他の重大な犯罪を事由とする大統領の弾劾を審議する。議員定数の分の以上の基準を満たした場合、大統領の罷免が決定する。

 8)非常事態、戒厳令、完全なあるいは部分的な動員の施行に関する大統領令を審議する。

 それらの審議に入ってから日以内にしかるべき決定を行う。

 共和国会議は、憲法で規定されている場合、他の問題の決定も行う。

 

第99条

 立法発議権は、大統領、代表者院、共和国会議、政府、および選挙権を有する万人以上の市民にあり、その発議は 代表者院で実現される。

 それらを可決した結果、国庫の削減、経費の発生あるいは増額が起こりうる法案は、大統領の同意あるいは大統領に委任された政府が認めた場合のみ代表者院の審議にかけられる。

 大統領もしくはその依頼により政府は、法案の審議の緊急緊急性を認めることについて、代表者院および共和国会議に提起する権利を有する。代表者院および共和国会議は、この場合、当該法案を審議にかけられた日から10日以内に審議しなければならない。

 大統領の要求またはその同意を得た政府の要求により、代表者院および共和国会議はその議会において大統領あるいは政府によって提起された法案のすべてもしくはその一部を、大統領もしくは政府によって提案あるいは採択された修正を加えただけで、そのまま承認する。

 

第100条

 いかなる法案も、憲法で他の定めがない限り、まず代表者院で審議され、その後共和国会議で審議される。

 法案は、憲法で規定されている場合を除いて、議員定数の過半数で代表者院で可決され共和国会議で承認された後、法律となる。

 代表者院で可決された法案は、日以内に共和国会議の審議に移される。共和国会議では、憲法で他に規定されていない場合、20日を越えない期間審議する。

 法案は、共和国会議の議員定数の過半を越える議員の賛成により、もしくはこの法案が審議にかけられた日から20日間、法案の緊急性が認められた場合は10日間共和国会議で審議されなかった場合、承認されたと見なされる。共和国会議で法案が却下された場合、両院は発生した異見を克服するため、パートナーシップに基づいて組織された調停委員会を組織することができる。調停委員会で作成された法案のテキストは、両院の承認を得るために提出される。

 もし調停委員会で両院の承諾を得た法案のテキストが採択されなかった場合、大統領もしくはその依頼を受けた政府は、代表者院に最終的な決定を下すよう要求することができる。法律は、代表者院の議員定数の分の以上が賛成したという条件が満たされれば、代表者院で可決されたと見なされる。

 代表者院で可決され、共和国会議で承認された法律、あるいは本条項で規定された手続きにより代表者院で可決された法律は、署名のため10日以内に大統領に提出される。大統領は法律のテキストに同意した場合、法律に署名する。大統領が、法律の提出を受けた後週間にわたって何らの法律も戻さなかった場合、その法律は署名されたと見なされる。もし法律が会期終了により議会に戻されなかった場合、その法律は署名されなかったと見なされ発効しない。

 法律のテキストに不同意の場合、大統領は自身の異見を添付して当該法律を代表者院に差し戻す。代表者院は、大統領の異見の付いた法律を30日以内に審議しなければならない。もし当該法律が代表者院において議員定数の分の以上の多数で可決された場合、この法律は大統領の異見とともに5日以内に共和国会議へ送られる。共和国会議も、20日以内にこの法律を再審議しなければならない。法律は、共和国会議の議員定数の分の以上の多数で可決された場合、承認されたと見なされる。大統領の異見が代表者院並びに共和国会議によって克服された法律は、日以内に大統領によって署名される。この法律は、この期間内に大統領の署名がなされなくても発効する。

 同じ手続きで、再票決のために差し戻される法律の個々の条項に対する大統領の異見も、両院で審議される。この場合、代表者院および共和国会議によりしかるべき決定を得るまで、大統領が異議を唱えている条項を除いて、この法律は大統領により署名され発効する。

 

第101条

 代表者院および共和国会議は、両院の議員定数の過半を越える多数で採択された法律により、大統領の提案に従って、法的効力を有する命令の公布に対する立法権を大統領に委譲することができる。この法律は、規制の対象と命令公布に対する大統領の権能の有効期間を規定しなければならない。

 憲法の変更および追加、その解釈、綱領的法律の変更および追加、共和国予算およびその決算報告の承認、大統領選挙および議会選挙規定の変更、市民の憲法で規定された権利と自由の制限を意図した命令の公布においては、大統領への権能の委譲は許されない。大統領に立法権を委譲する法律は、大統領がこの法律を変更することを許さない、さらに遡及力を有する規定を採択する権利を与えていない。

  特別に必要な場合、大統領は自信の発議により、または政府の提案に従って法的効力を有する暫定的命令を発することができる。これらの命令が政府の提案により公布された場合、それらには首相の副署がなされる。暫定的命令は、その後に続く代表者院の審議、その後の共和国会議の審議のため、3日以内に提出される。これらの命令は、各院の議員定数の分の以上の多数により廃止されなければ、その効力を保持する。両院は、廃止された命令により発生した関係を、法律により調整することができる。

 

第102条

 代表者院議員および共和国会議議員は、自身の意見の表明および自身の権能の実現に際して、不可侵権を行使する。不可侵権の行使は、不可侵権を行使した議員を名誉毀損や侮辱の罪で責任追及する問題にはあたらない。

 代表者院議員および共和国会議議員は、その職務にある期間、所属する議会の議長が同意した場合に限り逮捕および他の方法により自由を奪われる。ただし、国家に対する背信または他の重大な犯罪行為、さらに犯罪の現場で逮捕された場合は、例外とする。

 代表者院議員もしくは共和国会議議員に関する刑事事件は、最高裁判所で審議する。

 

第103条

 両院の会議は公開とする。もし国益のために必要ならば、両院は、両院の議員定数の過半を越える多数で非公開の会議の開催を決定することができる。会議中は、非公開の場合も含めて、大統領、副大統領、首相および政府の閣僚は、発言者名簿の順番とは関係なく要求された回数だけ発言することができる。

 会議は 月に度、代表者院議員および共和国会議議員の質問と政府の回答に充てられる。

 代表者院議員、共和国会議議員は、首相、閣僚、議会により組織されたまたは選ばれた国家機関の長に質問する権利を有する。質問は議題に入れられなければならない。質問に対する回答は、議会の各院で制定された手続きで会期中の20日以内になされなければならない。

 議員定数の分の以上の代表者院議員もしくは共和国会議議員が出席した場合、各院の会議は成立したと見なされる。

 代表者院および共和国会議における票決は公開であり、代表者院議員、共和国会議議員一人一人が「賛成」または「反対」に挙手をする方法で行われる。秘密投票は、人事問題の決定にのみ行われる。

 

第104条

 代表者院の 議決は、法律および決定の形で採択される。代表者院の決定の管轄は、運営および管理に係わる問題である。共和国会議の決議は、決定の形で採択される。憲法により他に定めがないならば、両院の 議決は、議員定数の過半以上が賛成した場合に採択されたと見なされる。

 ベラルーシ共和国の内外政策の基本的方向、ベラルーシ共和国軍事ドクトリンに関する法律は、綱領的法律であり、両院の議員定数の分の以上が賛成したという条件で、採択されたとみなされる。

 法律は、署名後遅滞なく公布され、当該法律により他の期日が規定されていなければ、公布後10日後に効力を発する。同じ手続きで、大統領の命令も公布され効力を発する。

 法律は、市民の責任を軽減または取り消す場合を除いて、遡及力を持たない。

 

第105条

 代表者院、共和国会議、それらの機関、代表者院議員および共和国会議議員の活動規定は、議会議長により署名された議院規則で定められる。

 

第5章 ベラルーシ共和国政府−閣僚会議

第106条

 ベラルーシ共和国の行政権は、国政の中央機関たる政府(ベラルーシ共和国閣僚会議)にある。

 政府はその活動について、大統領に報告義務があり、ベラルーシ共和国議会に対する責任を負う。

 政府は、新たに選出された大統領に対し自身の権能解除の申し出をする。

 ベラルーシ共和国政府は、首相、副首相および閣僚より構成される。他の共和国国政機関の長も政府に加わることができる。

 首相は、代表者院の承認を得てベラルーシ共和国大統領により任命される。この問題の決議は、首相候補の提案がなされた日から週間以内に代表者院でなされなければならない。代表者院で首相指名の承認が度否決された場合、大統領は、首相代行を指名し、代表者院を解散し新たな選挙の公示を行う権利がある。政府の活動は、首相が指揮する。首相は、

 1)政府の活動を直接指揮し、その活動に対し個人的責任を負う。

 2)政府の決定に署名する。

 3)任命されてからカ月以内に議会に政府の活動計画を提出する。その活動計画が否決された場合は、カ月以内に新たな活動計画を提出する。

 4)政府の活動の基本方針およびすべての最重要の決定事項を大統領に報告する。

 5)政府の機関および活動に係わる他の職務を遂行する。

 政府またはどの閣僚も、課せられた義務の遂行が将来的に不可能と考えた場合、大統領に辞職を申し出る権利がある。政府は、代表者院により政府の不信任が表明された場合、大統領に総辞職を申し出る。

 首相は、提出された計画あるいは具体的な事由について政府の信任問題を代表者院に提起することができる。もし代表者院が信任を拒否した場合には、大統領は10日以内に政府の総辞職を決定するか、議会の解散および新たな選挙の公示を行う決定を下す権利がある。総辞職が伽化された場合、政府は職務の遂行を継続する。

 大統領は、自身の発議により政府の総辞職およびあらゆる閣僚の解任を決定する権利がある。

 総辞職あるいは職務行使停止の申し出をした場合、大統領の依頼により政府は新たな政府が組織されるまでその職務を遂行し続ける。

 

第107条

 ベラルーシ共和国政府は、

 管轄下の国政 機関および他の行政機関を指導する。

 内外政策の基本方針を作製し、その実現の措置を講じる。

 共和国の予算案およびその決算報告を 作成し、議会の審議に付するために大統領に提出する。

 経済、財政、金融および通貨の各分野における統一政策、科学、文化、教育、保健、環境、社会保障および賃金の各部門の国家政策の実施を保障する。

 市民の権利と自由の保証、国益の保護、国の安全保障および防衛力、所有と社会的秩序の保護、犯罪との闘いについての措置を講ずる。

 ベラルーシ共和国の所有である財産に関し、その所有者を名のる。国家資産の管理を行う。

 憲法、法律および法令、大統領令および大統領の決定の遂行を保障する。

 中央行政機関および他の共和国国政機関の決定を取り消す。

 憲法、法律および大統領令により政府に課せられた他の職務を遂行する。

 

第108条

 ベラルーシ共和国政府は、ベラルーシ共和国全土において法的強制力のある決定を公布する。

 首相は、自身の権限内で命令を公布する。政府の権限、政府の組織および活動の手続きは、憲法に基づいてベラルーシ共和国閣僚会議に関する法律で規定される。

 

第6章 裁判所

第109条

 ベラルーシ共和国の司法権は、裁判所に属する。

 裁判制度は、管轄の限定化、専門化の原則に従って構築される。

 ベラルーシ共和国の裁判機構は、法律によって規定される。

 臨時(特別)裁判所の設置は禁止されている。

 

第110条

 裁判実施の際、裁判官は独立であり法律にのみに拘束される。

 裁判実施に関する裁判所の活動に対するいかなる干渉も許されず、法律に従って罰せられる。

 

第111条

 裁判官は、企業活動を行うことはできない。教授および学術研究活動以外の有償の活動に従事することはできない。

 裁判官の選出(任命)および解任の根拠は、法律で規定される。

 

第112条

 裁判所は、憲法および憲法に則って採択された他の規範法令集に基づいて裁判を行う。

 具体的な事件の審理において、裁判所が規範法令が憲法に整合していないという結論に達した場合は、裁判所は憲法に従って判決を下し、所定の手続きを踏んで当該規範法令が 違憲であると認めることに関する問題を提起する。

 

第113条

 審理は合議制で行われる。法律で規定されている場合は、裁判官独自に行う。

 

第114条

 事件の審理はすべての裁判所で公開される。非公開の審理は、法律で規定されており、すべての裁判実施規定を遵守した場合にのみ許される。

 

第115条

 裁判は、対審と平等を原則に実施される。

 裁判所の決定は、すべての市民および公務員の義務となる。

 裁判に参加する国および個人は、決定、判決および他の裁判所の決定に対し上告(異議申し立て)する権利がある。

 

第116条

 国内の規範法令の合憲性に対する管理は、ベラルーシ共和国憲法裁判所が行う。

 ベラルーシ共和国憲法裁判所は、通例学位を有する12人の高度な学識のある法律部門の専門家で構成される。

 人の裁判官は、ベラルーシ共和国大統領によって任命され、人の裁判官は共和国会議で選出される。憲法裁判所長官は、共和国会議の承認を得て大統領により任命される。憲法裁判所裁判官の任期は11年で、憲法裁判所裁判官の定年は70歳である。

 憲法裁判所は、ベラルーシ共和国大統領、代表者院、共和国会議、ベラルーシ共和国最高裁判所、ベラルーシ共和国最高経済裁判所、ベラルーシ共和国閣僚会議の提案により以下に列挙する事案について結論を下す:

 法律、命令、大統領令、国際条約その他のベラルーシ共和国の義務の、憲法およびベラルーシ共和国が批准した国際法令への整合について、

 ベラルーシ共和国が加盟している国家間機関の決定、法律の履行のために公布された大統領令の、憲法、ベラルーシ共和国が批准した国際法令、法律および法令への整合について、

 閣僚会議の決定、最高裁判所、最高経済裁判所、検事総長の決定の、ベラルーシ共和国が批准した国際法令、法律、法令 および命令への整合について、

 任意の外国の国家機関の決定の、憲法、ベラルーシ共和国が批准した国際法令、法律、政令 および命令への整合について。

 違憲であると認められた規範法令 またはその他の規程は、法律で規定された手続きで失効される。

 憲法で規定されている場合、憲法裁判所は大統領の提案により、 議会の両院がベラルーシ共和国憲法の組織的あるいは重大な違反をおかしているという事実を決定する。

 憲法裁判所の権限、組織 および活動規定は、法律で規定される。

 

第5部 地方行政および地方自治

第117条

 地方行政 および地方自治は、地方議会、執行および運営機関、地方自治体の機関、地方の住民投票、会議並びに国務および公務に直接参加する他の形態を通じて市民により実現される。

 

第118条

 地方議会は、該当する地域的行政区分の市民によって年の任期で選出される。

 

第119条

 地方の執行 および運営機関の長は、ベラルーシ共和国大統領あるいは大統領によって規定された手続きにより任命され解任され、当該地方議会がその指名を承認する。

 

第120条

 地方議会、執行 および運営機関はその権限の範囲内で、国家全体の利益および当該地方に居住する住民の利益に基づいて地域固有の問題を解決し、上位国家機関の決定を執行する。

 

第121条

 地方議会の独占的権限となるのは、以下の項目である。

 経済発展 および社会発展プログラム、地方予算およびその決算報告の承認、

 法律に則った地方税 および徴収金の設定

 法律によって規定された範囲内での、地方自治体の財産の管理と処分の手続きの規定

 地方の住民投票の公示。

 

第122条

 地方議会、執行 および運営機関は、現行法に基づいて該当する地方で法的強制力のある決定を行う。

 法律に整合しない地方議会の決定は、上位政府機関によって取り消される。

 法律に整合しない地方の執行 および運営機関の決定は、当該地方の議会、上位の執行および運営機関、さらにベラルーシ共和国大統領によって取り消される。

 市民の権利、自由 および合法的権利を制限または冒す地方議会、地方執行および運営機関の決定、および法律で規定された他の事例は、裁判で異議申し立てをされる場合がある。

 

第123条

 地方議会による法規の組織的あるいは重大な違反があった場合、地方議会は共和国会議により解散される。地方議会の職務期間終了前の権能停止の他の根拠は、法律で規定される。

 

第124条

 地方行政機関 および地方自治体の権限、設立の手続きおよび活動は、法律で規定される。

 

第6部 検察、国家統制委員会

 

第7章 検察

第125条

 中央の行政機関 および他の内閣管轄下の機関、地方の代議制機関および行政機関、企業、組織および機関、社会団体、公務員および市民による正確で統一された法律、法令、命令および他の規範法令の適用に対する監督を、ベラルーシ共和国検事総長と彼の管轄下の検事が行う。

 検察は、犯罪捜査の際の法律の適用、民事事件、刑事事件 および行政の違法行為への裁判所の決定と法律との整合性を監督する。法律で規定されている場合、予審を行い、法廷で国側の検察を支持する。

 

第126条

 検察機関の統一的中央集権的体制は、ベラルーシ共和国大統領によって任命される検事総長が統率する。

 下位検察官は、検事総長によって任命される。

 

第127条

 検事総長および下位検察官は、自身の権限の行使において独立しており、法律に従う。

 自身の活動について検事総長は、大統領に報告義務を負う。

 

第128条

 検察機関の権限、組織 および活動の手続きは法律で規定される。

 

第8章 国家統制委員会

第129条

 連邦予算の執行、国家資産の利用、大統領、 議会、政府および国家の所有の関係ならびに経済、財政および税務関係を調整する他の国家機関の決定の執行に対する国の管理は、国家統制委員会が行う。

 

第130条

  国家統制委員会は、大統領により組織される。

  国家統制委員会長は、大統領に任命される。

 

第131条

  国家統制委員会の権限、組織および活動の手続きは法律で規定される。

 

第7部 ベラルーシ共和国の財政・金融制度

第132条

 ベラルーシ共和国の財政・金融制度は、予算制度、銀行制度 および予算外基金、企業、機関、組織および市民の財政的手段を含む。

 ベラルーシ共和国領土においては、単一の予算・財政、税制、通貨・金融政策、貨幣政策が実施される。

 

第133条

 ベラルーシ共和国予算制度は共和国予算と地方予算を含む。

 歳入は、法律で規定された税金その他の義務的な公課 および他の収入で形成される。国家歳出は、歳出部門に応じた共和国予算でまかなわれる。

 法律に従いベラルーシ共和国では予算外基金を設立することができる。

 

第134条

 予算 および国の予算外基金の編成、承認および執行の手続きは法律で規定される。

 

第135条

 共和国予算の決算報告は、会計年度終了の日よりカ月以内に 議会の審議に付される。

 地方予算の決算報告は、法律で規定された期間内に該当する議会の審議に付される。

 連邦予算 および地方予算の決算報告は、公表される。

 

第136条

 ベラルーシ共和国の銀行制度はベラルーシ共和国中央銀行および他の銀行から成る。中央銀行は、金融関係および貨幣の流通を調整し、決済の手続きを規定し、貨幣発行の独占的権利を有する。

 

第8部 ベラルーシ共和国憲法の効力およびその変更の手続き

第137条

 憲法は、最高の法的効力を有する。法律、法令、命令および他の国家機関の決定は、ベラルーシ共和国憲法に基づき、それに従って公布される。

 法律、法令 または命令と憲法との間に矛盾が生じたときは、憲法が効力を有する。

 法令 または命令と法律との間に矛盾が生じたときは、法令または命令公布の権能が法律で定められている場合に限り、法律が支配権を持つ。

 

第138条

 憲法の変更および追加の問題は、大統領の発議か選挙権を有する15万人以上のベラルーシ市民の発議により議会の両院で審議される。

 

第139条

 憲法の変更および追加に関する法律は、議会によってカ月以上の期間をおいて2度審議され、承認された後、採択されることができる。

 非常事態を宣言している期間および 代表者院の職務が終了するまでのカ月間は、 議会による憲法の変更および追加は行われない。

 

第140条

 憲法、憲法に変更や追加を加える法律、前述の法律の発効に関する法律、憲法解釈の決定は、 議会の各院の議員定数の分の以上が賛成したとき、承認されたと見なされる。

 憲法の変更および追加は、国民投票によって実施することができる。国民投票による憲法の変更および追加は、選挙名簿に記載されている市民の過半数が賛成したとき、可決されたと見なされる。

 憲法第1、2、4、8の各章は、国民投票によってのみ変更することができる。

 

第9部 結びおよび経過措置

 

第141条

 共和国国民投票で可決された変更と追加を加えた1994年のベラルーシ共和国憲法(本憲法)は、本憲法で定められた期日に発効する個々の条項を除いて、公布された日より発効する。同時にベラルーシ共和国法「ベラルーシ共和国憲法の発効の手続き」は効力を停止する。

 

第142条

 本憲法の発効以前にベラルーシ共和国の領土で効力を有していた法律 および他の法令は、ベラルーシ共和国憲法に反しない部分は適用される。

 

第143条

 本憲法が発効した日より1カ月以内に、ベラルーシ共和国最高会議およびベラルーシ共和国大統領は、最高会議議員のうち1996年の共和国国民投票実施期日公示の日以前に選出された議員数を定数とする 代表者院を構成する。その際、ベラルーシ共和国最高会議議員は本憲法で規定された期間、自身の権能が保持される。彼らの職務遂行の期間は、本憲法が発効する日より起算される。

 共和国会議は、本憲法の第91条に規定されている手続きで組織される。

 もし指定の期間内に大統領と最高会議間の対立によって 代表者院が組織されない場合は、大統領は本憲法の第84条第項および項に従い最高会議を解散して 議会の選挙を公示する。

 

第144条

 ベラルーシ共和国大統領は、自身の権能を保持する。

 大統領の職務遂行の 任期は、本憲法が発効した日より起算する。

 

第145条

 ベラルーシ共和国政府は、本憲法が発効する日より憲法によって定められた権利を持ち、義務を負う。

 

第146条

 大統領、 議会、政府は本憲法が発効した日よりカ月以内に、憲法の中で挙げられている機関を、憲法143条第部で他に定めがない場合、本憲法で定められた手続きに従って設立し、組織する。

 

 

ベラルーシ共和国大統領        A.G.ルカシェンコ

1996年11月27日                    ミンスク市

 

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